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油作り企画(菜種)

2015年4月〜6月
通学電車から淀川河川敷の菜の花畑を見て菜の花から菜種油をとることを思いつきました
友達の前岡くんに協力してもらい、油作り企画(菜種)を実行しました(笑)
目次
菜種とは
油の搾り方
⒈ 2015/4/19 搾油機作り
⒉ 5/25 菜種集め初日
⒊ 5/26 菜種処理
⒋ 5/28 菜種集め二日目
⒌ 5/29 菜種処理
⒍ 6/4 搾油初日
⒎ 6/6 搾油機(改)作り
⒏ 6/10 搾油二日目
⒐ 6/17 精油
10. 工業的精油法
11. 参考文献
菜種とは
西アジアから北ヨーロッパ原産の、アブラナ科アブラナ属の
二年生植物で、熟した種から菜種油をとることができる。
現在自生しているのはほとんどがセイヨウアブラナで、セイヨウアブラナはその種子から油がとれ、在来のアブラナは野菜として食べられる。
自生している菜種には、甲状腺機能の低下を引き起こすグルコシノレートという物質が含まれ、菜種油には過剰摂取によって心臓に害を及ぼすエルシン酸という不飽和脂肪酸が多く含まれる。(今回はちょっとだけだからいいということで…笑)
Wikipediaより
油の搾り方
油を搾る方法はたくさんありますが、ここでは二つの方法を紹介します。
一つ目は伝統的な方法である圧搾です。圧搾とは、種に圧力をかけて油を搾りだす方法です。加える圧力によって油の出方は異なりますが、
一般に次に紹介するヘキサン抽出法よりもとれる油が少ないです。
二つ目の方法は圧搾では残ってしまう油をとり出すために考案されたヘキサン抽出法です。
ヘキサンは有毒な物質ですが、蒸留によって回収されるので油に混入することはありません。
ただ、僕たちの実験レベルでは油への混入が完全に防げそうになく、ヘキサンの入手も難しいので、今回は圧搾法を用いました。
搾油の行程
搾油の行程は次のようになります。
収穫→選別→天日干し→炒る→粉砕→蒸す→圧搾(ヘキサン抽出)
→湯洗い→濾過
⒈ 2015/4/19 搾油機作り
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ホームセンターで購入した木材と、軽自動車用のジャッキで搾油機を作ったのですが……ちょっと弱そう(笑)

↓↓

ジャッキを伸ばしていくと、底面の木材との距離が縮まって、菜種が搾られる仕組みです。
ジャッキと木材の間に菜種を仕込みます。
費用は木材・ネジ類が1200円、小型ジャッキが2000円、計2700円でした。

完成した木製搾油機

⒉ 5/25 菜種集め初日
淀川河川敷で菜種を採集しました。
まだ熟れていない菜種は、種が出ない上に、熟れている菜種は少しの振動でさやがはじけて種が飛んでいくので、慣れるまで大苦労でした(笑)

採集は夜遅くまで続きました

⒊ 5/26 菜種処理
集めた菜種には、さやや、ゴミがたくさん混じっています。
これを取り除くのが課題です。

集めた菜種

ゴミをドライヤーを使って飛ばし、残ったゴミを手で取り除いて菜種を水洗して菜種についているゴミを落します。

水洗後の菜種

トレイなど、菜種が乾いたときに飛んでいかない容器に
新聞紙を敷いて天日干しします。(約一週間)

天日干し(天日干しに見えないとか言わない)

⒋ 5/28 菜種集め二日目
菜種を収穫する時にさやに触れると種が飛んでいくので、さやがついている枝の根元から切り取ります。
できるだけ振動を与えずに収穫するのが至難の技です。

収穫する前岡氏

収穫したばかりの菜種にはゴミだけでなく、カメムシやテントウムシなども混じっています。袋を開けっぱなしにして逃します。

収穫した菜種

一回目の菜種処理と同じように天日干しをします。

天日干し

⒌ 5/29 菜種処理
ドライヤーでゴミや虫の死骸を弾き飛ばします。ゴミを飛ばしやすくするため、またゴミだけを飛ばして菜種を飛ばさないようにするために、ゴミをトレイの端に寄せるなどの工夫をします。

ゴミ飛ばし

ゴミを取り除いた菜種を弱火で炒ります。
炒る時間は10分〜20分で、香ばしい匂いがしてくるくらいが火を止める目安です。強火で炒ったり、炒る時間が長すぎると焦げます。焦げても油は出ますが、ものすごく不味くなるので焦げには注意です。

弱火で加熱

収率を調べるために菜種の重さを計ります。今回は約800gでした。菜種の含油率は35〜50%ですが、実験レベルなので10%の収率を目標としました。

計測

硬い種皮を粉砕することで油が出やすくなるようにします。すり鉢でするのもありですが、時間がかかり、大変なので
ミキサーで粉砕します。粒が細かくなるにつれて、菜種がしっとりとしてきてミキサーに詰まりやすくなるので、
ミキサーを止めて中をかき混ぜ、またミキサーにかける作業を繰り返します。

ミキサーで粉砕

粉砕すると黒かった菜種が黄色くなり、香ばしい匂いがするようになります。手で触るととてもしっとりとしています。

粉砕後の菜種

⒍ 6/4 搾油初日
水を少し(目分量)加えて、電子レンジ対応の容器でチンします。あとから考えるとこのとき目分量で水を加えたのがマズかったです笑

容器に詰めます

レンジ(強)で約2分チンします。菜種がだいたい80℃になる時間が目安です。(初めに5分チンしたのですが、
焦げました)

レンジでチン

そしてようやく圧搾です。圧力を加え始めてすぐに搾油機の板が変形し始めたので、大きな石を置いて変形を抑えました。が、今にも壊れそうだったので、すぐに実験を中止しました。

加圧する前岡氏

搾油機の板が変形して大きな力を加えられなかったこと、すぐに実験を中止したのでたくさん搾ることができなかったことが原因で少ししか油を搾ることができませんでした。また搾る前に菜種を焦がしていたので、とれた油は激マズでした笑

木製はダメ

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⒎ 6/6 搾油機(改)作り
木製搾油機では大きな圧力を加えることができないことがわかったので、鉄製に替えることにしました。近くのホームセンターで建築資材を購入し、組み立てました。費用は1500円くらいでした(ジャッキ代除く)

搾油機(改)

⒏ 6/10 搾油二日目
前回の収量が少なかったのは、炒る時間が足りなかったことも原因の一つかもしれないと考え、菜種を炒りなおしました。

 

いい匂いがするまで炒ります

油は菜種の粒子が細かいほど出やすいので、炒った菜種をもう一度ミキサーにかけ、粒をより細かくしました。

何度もミキサーにかけると細くなります

搾油機(改)で圧搾します。枠の鉄板が曲がるくらいの圧力をかけます。コップにたまっている黄色い液体がとれた油です。

搾油機(改)は耐久性があります

搾油機にセットして油を絞る部分は、専用のものがなかったので
いろいろなものを組み合わせて代用しました。
まず初めに、竹・アイスの容器・茶漉し・丸棒を使いました(アイスの容器の底に穴を開ける)。茶漉しに菜種をセットして圧搾すると、
油だけが茶漉しとアイスの容器の穴を通って出てくる仕組みです。
実際に圧搾した結果、茶漉しと竹が圧力に耐え切れず、壊れました。(失敗)
もっと強いものを使わないといけないことが分かったので、鉄・アルミ製の容器を使いました。アク取り(?)に菜種をセットすると穴から油が出てくる仕組みです。
実際に圧搾すると、容器は壊れず、木製のときよりも、たくさんの油が出ました。
ただ、アク取りの穴が大きかったので、出て来た油には菜種が少し混じっていました。
⒐ 6/17 精油
圧搾して出て来た油を一週間置いて、
不純物(主に菜種)を沈めました。
最初は黒く濁っていましたが、
不純物が沈殿すると油が透き通ってきます。

不純物を沈めます

油の上澄み部分を
コーヒーフィルターでろ過します。
大きな不純物はほとんど除去されます。
コーヒーフィルターには、上澄み油だけを注ぎます。沈殿を入れてしまうとろ過の時間が長くなります。

上澄みだけ注いで不純物は残します

次に、ろ過した油と水で薄めた酢を混ぜます。
しばらく放置しておくと、
上に油が浮いてくるので、スブーンなどで水が入らないようにすくいます。
この工程で、油中の水に溶ける不純物が除去されます。

油をすくうのがなかなか難しいです

とれた油を瓶に詰めると出来上がりです!
製油工場では、もっとたくさんの工程を通して、不純物を取り除きますが、家庭レベルでできる工程はこの二つです(他の工程を家庭でやる方法があれば、ぜひ教えていただきたいです)。
不純物をあまり除去していないので、市販されている菜種油よりも色が濃くなりました。
 
収率を計算すると、約6%でした。
目標よりは少なかったですが、また搾油機を改良して再挑戦するつもりです!!
改善点がたくさんあると思いますので、ご意見お待ちしております!

完成です!!

10. 工業的精油法
今回の精油では、軽くろ過をし、酢酸水と混ぜて精油をしましたが、工場では次のような工程で精油をします。
 
酢酸水と混入…粗菜種油と酢酸を薄めた水を約70℃で混入し、水溶性の不純物やタンパク質を取り除く
湯洗い…油を取り出し、8〜10回、70℃のお湯と混ぜる作業を繰り返す
加熱…湯洗いを終えた油を110〜130℃で約3分加熱して、油に含まれる水分と雑菌を除去する
ろ過…円筒にセットした和紙に加熱した油を注ぎ、和紙の下方を減圧してろ過する(減圧しない業者もある)
   加熱された油が危険であり、季節によっては和紙が破れることもあり、とても慎重を要する工程
11.参考文献
農文協編『手づくり油読本』
石橋製油株式会社 工場見学 http://yamaishi.jp/factory/
油茂製油 ごま油の作り方 http://www.abumo.com/user_data/operation.php
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