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やってみたことまとめ
ピラニア骨格標本作り
大学の友人に刺激されて骨格標本を作りました。いきなりピラニアから始めるのはちょっと変かもしれませんが、なんとか上手くいきました笑
ピラニアを解体していく写真を載せているので、苦手な方は見ないほうがいいかもれません。
目 次
骨格標本とは
骨格標本の作り方
使った道具・薬品
解体〜天日干し
天日干し〜復元
骨格標本とは
骨格標本は、石灰質などの硬い骨格が発達する動物において、それ以外の部分を除去することで標本とするものである。脊椎動物のそれが代表的であるが、石サンゴの標本などもこの名称が使われる。外骨格や体表の骨片が発達した動物においては、特に軟組織を除去することなくそのまま乾燥させて標本とすることも可能であり、これも広い意味では骨格標本的ではあるが、これらは普通は「乾燥標本」と呼び、通常は骨格標本と呼ばない
脊椎動物のように頻繁に骨格標本が作製される動物では、骨格そのものの構造に重要な分類形質が含まれるため、それに基づいて分類が行われてきた経過もあるが、見方を変えれば保存のよい部分に頼った分類が行われてきたとも言える。これを避けるためには液浸標本など、組織部分も保存するような標本との併用が望ましい。
小さく、骨格の貧弱な胚や小型魚類に関してはこうした乾燥状態での骨格標本作成は難しく、透明骨格標本が作成される。
Wikipedia「骨格標本」より
つまりは骨格標本は保存しやすいけど、骨格以外の部分を除去してしまっているから、標本が持つ情報も少なくなっているってことですね。
最後の文の透明骨格標本については、またいつか挑戦してみたいなと思っています(なにせお金がかかる笑)
小型の魚類や、稚魚の骨格標本を作るとわかるのですが、骨が細すぎて全然上手く作れません。ものすごく器用な人は作れるかもしれませんが笑
骨格標本の作り方
個人レベルでの製作によく使われる方法としては、解剖・パイプユニッシュ&ハイター漂白・ウジ虫を使った方法があるようです。
解剖はご存知のとおり、魚なら魚体を開いて骨以外の組織を取り除く方法です。
パイプユニッシュ&ハイターは解剖に付随する方法ではないかと思うのですが、解剖で取りきれなかった組織をパイプユニッシュで溶かし、ハイターで骨を白く漂白する方法です。この作業は、解剖に比べて進捗が分かりにくいので面倒くさいです笑 管理人も一時期この作業を省いてもいいんじゃないかと思っていましたが、実際に省くと完成した標本がとんでもなく臭くなるので、保存の観点から非常に大事な行程です。
ウジ虫を使うやり方は、ウジ虫に骨以外の組織を食べさせて最終的に骨だけを残す方法です。ウジ虫さえいれば良いので、経済的なやり方なのですが、管理人はどうもウジが苦手なのと、完全に組織が取り除けない欠点があるので、あまりオススメはしていません笑
使った道具・薬品

上の細いのが、精密マイナスドライバーです。下がピンセットです。ピンセットでおおまかに肉や内臓を取り除いて、ドライバーで細い組織を取っていく感じです。もちろん精密ドライバーをこんな用途に使うと錆びてドライバーとしては使えなくなります笑(今回は最初から潰れていたものを使用しました)

ブリーチ系の薬品です。これも薬局とかで買えてパチモンryです。パ◯プユニッシュで組織を溶かしたあと、中和と骨の漂白に用います。


パ◯プユニッシュとかいう系統の薬品ですね。ドライバーで取りきれない細い組織を溶かすのに使います。組織と一緒に細い骨も溶かしてくれるので、あまり考えずに使うと骨ごとなくなります笑 薬局やホームセンターで購入できますが正規品はちょっと高いので、薬局でパチモンを購入しました。

ビニール手袋です。絶対に必要というわけではないですが、魚からかなり脂が出て手がヌルヌルになるのと、魚臭が手につくので、それが嫌な人は手袋をして作業したらいいと思います(管理人はしませんでした)
瞬間接着剤です。標本を作る上では熱ボンドで接着する方がやりやすいのですが、不器用がやると見た目が悪くなるので、今回は瞬間接着剤を使いました。ちなみに熱ボンドとは、あっためたボンドのことではなくグルーガンのことです。グルーガンは「カダヤシ捕獲器作り企画」で扱っています。
解体〜天日干し

まず、こちらがお亡くなりになったピラニア・ナッテリーです。ペットショップで購入するという過ちを犯したので何歳かわかりません。最近(でもないかもしれないけど)日本の河川でも殖えてるらしいですね。

最初の処理として、肉をほぐしやすくするために茹でます。5〜10分、しっかり熱が通るまで茹でると後の処理がかなり楽です。

茹で終えたら皮を剥ぎます。皮を剥ぐと肉が見えてきます。頭部の皮は骨と密着している部分もあるので、そこは諦めてパ◯プユニッシュに仕事をさせます。あと、各ヒレは変に触ると折れたりするので、何も手を加えないのが吉です。

次に肉を取り除きます。写真でわかるように肉の間を肋骨やら背骨が通っているので、骨を傷めないよう少しずつ取り除いていきます。ピラニアはエラの下あたりの内臓や組織を取り除くのが難でした。また解体しているときには気づきにくいですが、復元のときになって、どの骨がどの位置にどの順番で配置されていたか分からなくなるといったことが頻繁に起こるので、「ここの構造ややこしいな」と思ったらスマホ等で写真を撮っておくと良いです。あとで本当に役に立ちます。

残った肉が多いと、後の処理で消費するパ◯プユニッシュの量が多くなって、骨が溶けやすくなるので、できる限りこの処理でたくさんの肉を取り除き、残る組織を減らします。処理が進むとかなりグロテスクになってきます。

いよいよパ◯プユニッシュの登場です。ユニッシュがこぼれないような硬い容器(金属はユニッシュと反応するので×)に入れてピラニア全体がしっかり浸かるように浸します。
この後、頭部などを切り分けるので、この段階では短い時間浸けます。細部の骨が溶けてしまうのを防ぐためです!

ピラニアは(というか魚はだいたい)頭部が複雑で取りきれていない組織が多いので、頭部の組織を全部溶かそうとしている間に尾びれなどの細い骨が溶けてなくなります。それを防ぐために頭部とそれ以下の部分を切り 分けます。状態によっては、もっと多くのパーツに切り分けてもいいです。
(正直、よっぽど肉取りの処理が上手くないと、ある程度組織は残ります。組織が残ることに妥協して骨を守るか、組織とともに骨を消し去るかの二者択一のような問題になってきます。管理人は今回前者を選びました。残った組織もちゃんと乾燥段階を経ればあまり臭わないので、前者がオススメです。

パ◯プユニッシュに浸したあと、そのままブリーチに浸けると中和反応が起こって塩素が発生しやがるので、一度水で洗います。(だからもちろんブリーチとか使い終わったあと、廃液を一緒くたに流したらエライことになります)

ややこしい形をした骨をブリーチにつけている様子です。ブリーチは透明で粘り気もないので誤飲注意です。一回の実験でブリーチの袋を使いきれると良いのですが、たいていの人はそうではないと思うので、使わなかった分は家の洗濯に使うか、ブリーチ(漂白剤)であることを明記して別容器で保管するかしてください(間違っても飲んじゃダメ、止めはしないけど笑)

ブリーチ処理も終わり、最終的に頭部より下の体部はこんな感じになりました。わかりづらいかもしれませんが、骨はブリーチ処理をする前と比べてかなり白くなりました。できるだけ細部の骨を残す方向でパ◯プユニッシュ処理をしていましたが、それでもこの写真を見ると尾びれはかなり溶けています(無念)
次は乾燥段階に移ります。

細い骨はよくどっかにいきますが、どこにいったか分からなくなると本当に困るので、キッチンペーパー等の上で乾燥させます。乾燥段階は、完成した標本の臭いを左右するのですごく重要です。めんどくさいからといって乾燥処理を端折ると、ものすごく臭い標本が出来上がります(経験済み)
骨の大きさにもよると思いますが、天日干しの目安はだいたい1週間です。外は風が強くて飛んでしまうという場合は、風の強さと骨の重量を計算して飛ぶか飛ばないか判断する……ことはできないので部屋干ししましょう。
それ以外にも緯度が高すぎて1日中太陽が昇らないなど、ケースはいろいろあると思いますが、天日干しできなくて部屋干しする場合は1週間以上干しましょう。
天日干し〜復元


十分に乾燥したら復元作業に移ります。これまでの処理でバラバラになったパーツを接着していくわけですが、まず初めに割れてしまったり、欠けてしまったパーツを繋げていきます。
初めの「使用した道具・薬品」で書いた瞬間接着剤(もしくは熱ボンド)で接着していきます。

復元処理をする前の頭蓋骨です。解剖処理で組織を取り除くために、鰓蓋骨や胸鰭(が付いている骨)、下顎を取り外していたのでくっ付けます。

下顎を接着するときに気付いたのですが、下顎は2つのパーツが連結されて構成されてました(ただの個人的興味)
それにしても噛まれたら痛そうな歯です笑
一回噛まれたことありますが、そのときはなかなか大変でしたね笑

各パーツを接着し終わった頭蓋骨です。こうやって組み立てると、胸鰭は頭蓋骨にくっついていることや、鰓のあたりは骨が多層的になっていることがわかります。これが骨格標本を作る意味ですね。

背骨も同様に背鰭や臀鰭をくっ付けます。この鰭の骨は本来組織を介して背骨にくっ付いているので、直接背骨にはめ込むことは難しいですが、だいたいの場所を撮っておいた写真から推定して貼り付けます(何を言ってるのかわからない人は一度解剖してみると分かるようになります)

背骨と頭蓋骨を接着して、適当な位置に標本を支える棒を付けて完成です。
ヘッタクソですが、まあなんとか標本っぽくなりました〜。
せっかく作った標本が壊れると辛いので、ケースかなんかに入れておきます(アクリルケースが100均で買えます)
今回の挑戦で、骨格標本作りって意外と面白いんだなと思ったので、また別の魚の標本作りにも挑戦してみたいと思います!
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