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エッチング実験1
2016/03/10
浪人時代にエッチング実験をやったことがあったんですが、ことごとく失敗に終わりました笑 新しい実験ばかりでなく、昔失敗した実験の再実験もやってみたいなと思い、やってみました。昔失敗しただけあって、今回も20回ほど失敗しましたが、なんとかやりきりました笑
目次
 
エッチングとは
エッチングの原理
使った道具・薬品
実験の流れ
エッチングとは
エッチング (英:Etching) とは、化学薬品などの腐食作用を利用した塑形ないし表面加工の技法。使用する素材表面の必要部分にのみ防食(防錆)処理を施し、腐食剤によって不要部分を溶解侵食・食刻することで目的形状のものを得る。
銅版による版画・印刷技法として発展してきた歴史が長いため、銅や亜鉛などの金属加工に用いられることが多いが、腐食性のあるものであれば様々な素材の塑形・表面加工に応用可能である。
塩化鉄(III)の3価の鉄イオンが銅に電子を与えられて2価になり、銅は最終的に銅(Ⅱ)イオンになる。塩化鉄(III)は塩化鉄(II)になる。FeCl3+Cu→FeCl2+CuCl, FeCl3+CuCl→FeCl2+CuCl2
Wikipedia「エッチング」より
 
 
 
うろ覚えながら高校化学の範囲では、イオン化傾向が大きい金属のイオン(例えば鉄)と、イオン化傾向より小さい金属(例えば銅)が接触しても何も反応は起こらなかったはずですが、この反応では(おそらく)イオン化傾向だけでは理解できないことが起こっているんでしょう(ここで理解力の限界が来る)
今回は更に意味のわからないことに、ステンレスを溶かします。市販のエッチング液(主成分はFeCl3)は銅を溶かすようにできているので、上で書いた式の通りに反応が進むのですが、なぜかこのエッチング液、鉄も溶かします(本当に意味がわからない)
使用する薬剤によってはガラスにもできるらしいですね。ガラスエッチングもいつかやってみたいです。
 
 
エッチングの原理
この素晴らしくクオリティの低い絵を見てもらえれば分かると思いますが、なんらかの方法で金属板上にエッチング液の接触を防ぐ膜を作り、金属板を液に浸けると、液が接触した部分だけ金属が溶かされて凹み、文字や模様を彫ることができるということです。管理人がやったような個人レベルの実験では、あまりお金をかけることができないので、如何にして膜を作るかが勝負になります。20回失敗したのもこの膜のせいです笑
使った道具・薬品
文字や模様を入れる金属材料です。
今回は100均のバターナイフを使いました。
エッチングする面はできるだけ平面が良いです(同じ方法で曲面にやろうとすると難易度が500倍ぐらいになる)
今回の主役、エッチング液です。手芸屋や品揃えの良いホームセンターで買えます。注意事項が色々と書いてあるので読んでから使いましょう(読んでません)
金属を溶かす薬剤なので取り扱いは注意です。
紙やすりです。紙やすりは目の細かさが番号で表示されていて、番数が大きくなるほど目は細くなります。100〜2000くらいまでを1通り揃えておくと、急に必要になったときとかに便利です。
今回は800、1500、2000を使いました。
アルコールです。今回は脱脂という工程に使います。アルコール君は色々な実験で脇役として働いてくれることが多いので、1本置いておくととても便利です。※
消毒用のアルコールは水が入っているので、無水アルコールを薬局なんかで買うと良いです(そんなに高くない)
金属磨き界の救世主ピカール君です。
これもホームセンターで買えます(ア◯ゾンでも買えます)
エッチング終了後、表面を整えるのに使います。
アイロンです。この実験で一番大きな鍵を握る道具です。
金属板状に膜を転写するのに使います。
実験の流れ
金属材料に彫りたい文字を用意します。
この'''''かっこいい''''''デザインは、管理人が所属するオリジナルバンドのロゴです笑
気になる方はTwitter @Leibniz_3M をフォローしてください(宣伝)
 
転写するために白黒を反転し、左右も反転します。
これを忘れると悲しいデザインが彫刻されてしまいます笑
上のデザインをコンビニのスマホプリント等で、実際に彫刻したい大きさに印刷します。
このとき非常に大事なのが、レーザープリンターで印刷をすることです。レーザープリンターの説明は省略しますが(調べたらすぐ出てきます)、要は家にあるプリンターで印刷したのではダメで、コンビニや印刷会社にあるプリンターで印刷しないといかんということです。
印刷したデザインを切り取ったらデザインの準備は完了です。
レーザープリンターのインクは熱で溶けるので、このデザインを熱で金属上に転写します。
次は、金属材料の準備です。
買ってきた金属材料は普通、表面が加工されてツルツルになっているので、傷をつけて転写しやすくします。
具体的には1500番の紙やすりで表面を削ります。
ここでは磨くようにゴシゴシやるのではなく、浅い傷をつけるように八方に軽く当てるようにします。
次に脱脂を行います。
経験的に、目で見てわかるレベルの皮脂が付いていなければ、別に省略しても大丈夫なのですが、これを省略したがために実験が失敗に終わるのは嫌なので一応やります笑
アルコールを綺麗な布につけて、転写する面を軽く拭きます。
脱脂した面に先ほど切り取った紙をセットできたら準備完了です。アイロンのスイッチを入れて温まるのを待ちます。
アイロンが温まったらいよいよ転写です。この過程での失敗率は2000%(ソースは管理人)なので慎重にやりましょう。
コツは、熱だけでなく圧力をかけることですが、最初から圧力をかけようとして思いっきりアイロンを押し当てると、デザインがずれた場所に印字されていることが多いので、まずアイロンを30秒ほど乗せて軽く接着させたあと、20秒ほど強く押し当てます。
おそらく何度か失敗するうちにコツがわかってくるので、何度か挑戦してみてください(20回失敗しなければ管理人よりは上手です笑) 紙と金属板が完全に張り付いたら成功です!
 
失敗したデザインは1500番の紙やすりで削ると再挑戦できます。
うまくいったなと思ったら、紙が張り付いたままの状態で水に浸けます。10〜30分浸けた状態で放置します。紙質にもよりますが、長めに浸けた方が良いです。
※バターナイフが緑色になっているのは、マスキングのためですが、結果的にこの方法は失敗したので気にしなくて大丈夫です笑
十分浸けたら、指を使って紙の表面を削っていきます。
何度か失敗してわかったのですが、コツは紙の部分を全部取ろうとせずに、わずかに残すことです。完全にインクが転写されていれば紙を全て取り除いても良いのですが、たいてい一部は軽くしか転写できておらず、紙を剥がすと一緒に剥がれてしまうので、紙を残して成功率を上げる作戦です。
紙を全部取り除いた場合の失敗例です。
写真のように、デザインの転写が不完全になってしまう場合が多いです。このままエッチング液につけると悲しいデザインが出来上がります。
薄く紙を残した状態までいけたら、バーナーで軽く炙って乾かし、周りをビニールテープでマスキングします。テープは液が不要なところに侵入しないよう、しっかり貼ります。
エッチング液を適当な容器に入れてバターナイフを浸けます。
温度によって反応速度はある程度変わるのですが、デザインの表面に紙が残っている分、反応は遅くなります。
管理人は浸けている間、晩飯を食ってテレビを見ていたので、正確な時間はわかりませんが、だいたい2時間浸けていたと思います震
マスキングしていない部分に液がつくと当然溶けるので、気をつけます(容器に出し入れするときによく起こる)
浸け終わったら水で洗ってマスキングと紙を取り除きます。
ドキドキの瞬間です。
うまくできていると写真のようになります。
ただまだデザインの周りはボコボコで、紙やすりの傷もあるので磨いていきます。
わかりにくいのですが、上の写真にはデザインの周りに細かい穴がたくさんあります。これは転写過程でインクが転写しきれていなかった部分に液が侵入してできたものです。まず800番の紙やすりでこの穴を削っていきます。デザイン本体も削れますが、デザインの方が深く彫刻されているので問題ないです(たぶん)
デザイン周りの穴がなくなったら、次は800番の紙やすりによってついた傷を1500番の紙やすりで削ります。
紙やすりの傷は紙やすりで消すといった感じです笑
1500番をかけ終えたら2000番をかけます。
2000番をかけ終えたら、ピカールの登場です。
ピカールが紙やすりの何番に当たるのかはわかりませんが、とにかくめちゃくちゃ細かいです笑 根気よくかければ、元の状態と差がわからないくらいまでツルツルになるので頑張ります。
最終的に石鹸でピカールを洗い流したら完成です。
 
とりあえずしんどい実験でしたが、成功するとやりがいのあるものです。いつか曲面エッチングにも挑戦してみたいですね。
 
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